2022年9月29日木曜日

プリント基板の設計と業者への発注:(5)業者の対応

 先に示した8チャンネルの回路について、部品を実装しない基盤を中国の業者3社に発注した。対応の違いを確認しておく。これからは1社に依頼し、こんな無駄なことはしないで済むようにしようと思う。

(P)  PCBGogo

2022年9月25日(日)に、ガーバーデータをアップした。データ審査過程でなんら問題を指摘されなかった。翌26日に、製造に入るから振込み要請が来て、基盤代5ドルと配送代と手数料込みで、計27ドルをPayPal で振り込んだ。

27日製造完了で配達手続きに入った。追跡番号はマイページに記載されている。29日にDHL経由で配達予定になっていたが、DHLの都合で配達日変更になったようだ。DHLの配達予定は、DHLが佐川急便に荷物を引き渡す日だったようで、配達は30日になった。

到着した基盤の画像は以下のよう。



(S) SpeedSTUDIO (Fusion)

2022年9月26日(月)に、ガーバーデータをアップした。その日のうちに請求がまず来た。基盤製作、送料込みで18.55ドル。Paypalで振り込んだ。

しかし、その後にデータの不備が見つかったので、マイページに返信をしなさいとメールが届いた。この時、NextPCBが基盤の取り付け用のネジ穴がデータ間でずれがあると指摘されていたので、そこを治したデータを作成していた。ところが、マイページに再アップロードボタンが見つからない。それからも一二度、早く返事をしなさい胸のメールがきたが、こちら側としてはどうしようもない。やがて、翌27日マイアップロードページのメッセージが変わって、穴位置の不備が指摘された画像が掲載されていた。さらにチャットができるようになっていたので、データアップロードボタンが見つからないと書くと、しばらくしてボタンがつけられた。マイページのシステムは、とても柔軟なようだ。

翌28日審査が通ったようで、生産開始になった。30日朝の時点で、いまだに生産中になっている。

生産が終了し、出荷されたのが10月8日、到着が14日だった。他の2社と比べると遅い。

(N) NextPCB

2022年9月25日(日)に、ガーバーデータをアップした。翌26日、審査した人からドリルファイルがないというむねの審査状況がメールできたので、再アップロードした。また、その日のうちに、基盤のネジ穴位置が不整合であることと、PADが指定されていないという問題の指摘がきた。基盤位置の穴が不整合だったのは、新しいガーバーファイルでは、基盤の少し内側にねじ穴を設定し直したのにドリルファイルが古いままだったので、位置が不整合になったのだ。PADが指定されていないという意味がわからなかったが、おそらくオペアンプLSIについて、ソケットではなく、LSLを直接取り付けるから電極をハンダする面(PAD)が必要だと思われたのではないかと考えて、フットプリントをソケット用のものに変えた。ここは、再アップロードするボタンがマイページに明確に指定されていたので、再アップロードは容易にできた。

翌27日、審査が通ったようで、支払いの指示がきた。製作、送料込みで23.73ドルをPaypalで振り込んだ。翌28日には、生産終了と配送が終わったというメールが届いた。DHLの追跡番号はマイページに記載されている。

配送予定日は、9月30日となっている。これが佐川に渡される日としても迅速なのかもしれない。

9月30日に「配達中」。DHLカスタマーセンターとチャットしたら、配達は佐川急便ではなくDHL自身がやっているとのこと。その日の午後5時前に到着した。

到着した基盤の画像は以下のよう。


(P)の基盤と(N)の基盤を比べて、パッと見て大きな違いは(N)の基盤にはパーツ名が入っていること。これがないと、いちいち配線図と比べて部品を取り付けなければならないが、名前があれば、これが明確にわかる。(P)もオプション指定でできるのかもしれないが、確かめていない。

(N)の基盤では、設計上で裏面に一つのネットワークをベタ塗りしているところが改良点である。ところが、そのネットワークを、間違ってGND以外のものにしてしまった。ノイズの状況が悪ければ、ベタ塗りをGNDにしたものを再度依頼しようと思っている。


2022年9月27日火曜日

プリント基板の設計と業者への発注:(4)ガーバーファイルの出力とビュー

業者には、ガーバーファイルを中心に提出することになる。だから、とても大事な作業である。

 ガーバーファイルの出力は、上段メニューの「プロット」をクリックして開始する。


必要なレイヤーを指定したりなどするが、だいたいこの設定でうまくいっている。出力ディレクトリが指定されていないと、プロジェクトのトップディレクトリに出力される。だいたいガーバーファイルはレイヤーごとにたくさん出力されるので、他のファイルとすぐ区別できるつように、フォルダをプロジェクトの中に作った方が良い。

「プロット」ボタンを押すと、塗りつぶしの再描画が問い合わせされる。

「再塗り直し」を選択する。基盤に塗りつぶしが表示される。


再び、プロットダイアログが表示されるので、今度はドリルファイルの出力ボタンを押すと、ドリルファイルのダイアログが表示される。


だいたいこのような設定で問題なかったと思う。ドリルファイルの生成ボタンを押してガーバーファイルの出力を終了する。他にも、必要に応じてマップファイルなども出力しなければならないが、ここでのサンプルでは、ガーバーファイルとドリルファイルだけで良い。業者に渡すのもその二つのファイルをアーカイブしたものである。

次に、ガーバーファイルをプレビューしなければならない。

KiCadのアプリ選択ウィンドウで、ガーバービューを選択し立ち上げる。そのトップメニューのファイルから、「ガーバープロットファイルを開くを選択すると、ファイル選択ダイアログが現れるので、ガーバーファイルを出力したフォルダを開き、サフィックスが .gbrのファイルを全て選択し決定する。

という出力基盤が現れる。ここでは、ベタの色が緑になっているが、これはB.Cuレイヤーの色を意図的に変更してこうなっている。やり方は、ビューワーの右に例や選択ウィンドウがあり、その該当レイヤーの上で右クリックすると色の選択ボタンがあるので、それで変更できる。

各レイヤーを一通り個別にチェックできるので、問題がないか確かめなければならない。特にベタが確かに意図通りにセットされているかは重要である。なぜならば、ベタ領域はある意味追加的な結線のようになっているので、下手すると回路の整合性が取れなくなるからである。ちょっと変な言い方だが、ベタ領域はある意味一つのネットワークになっていて、対象のネットワーlくが二重化しているようなもので、基盤エディタには、両方のデータが組まれていて、一方を削除しても一方は残るようになっている。だから、他のものと間違いを起こしやすいように思えるからである。

業者へは、このガーバーファイルとドリルファイル、必要ならばマップファイルなどをzip して渡すことになる。

国内の業者はいずれも高そうだ(正確には、国内業者でリーズナブルな価格で提供しているものが、私には見つからなかったというべきだ)から、中国の業者にお願いすることになるが、アップロードした時点でのファイルチェックが厳しいところとそうでないところがある。また、アップロードしたのち、設計ミスがないかという審査(あくまで製造ができるかどうかであり、回路の配線ミスなどは設計者の責任になる)のやり方も業者ごとに異なっている。

私なりの業者の評価は、いろいろ体験したのちに書こうと思う。




プリント基板の設計と業者への発注:(3)基盤編集の続きと自動配線

 前回までの配線では、回路が重すぎるので、1ちゃんねるだけを切り取った回路にすると次のようになる。

未結線のところは明示しなければならない。エレクトリカルルールチェックもパスしている。この状態できばんエディタを開き、前回やった設定を行い基盤をアップデート、外枠の設定を行うと次のようになる。


オペアンプソケットの位置を決めるために、他の部品を外側に退避させて見る。オペアンプのソケットを中央におく。



回路図を見ても解るように、一つのオペアンプの中に、対照的にオペアンプが2段に組まれている素子なので、それを生かしたように部品配置すると次のようになる。

スペースがあるので窮屈さはない。スペースがない時は、抵抗やコンデンサを縦にしたりして詰め込むこともある。電源コネクタは横向きにした。

簡単になった回路なので、手動で二つの層に配線もできるが、ここは自動配線を使う。そのために、基盤エディタのメインメニューのファイルから、Specctra DSNを選んでいくスポートする。ファイル選択ダイアログが出るので、ファイル名を指定して保存する。

Freeroutingを以下からダウンロードする。この時点でのバージョンは1.6.2である。JAVAもインストールする必要がある。MACの場合、jarファイルを使えば良いと思う。jarファイルを起動すると、次のようになる。


先ほど行きスポートしたファイルを選択しロードする。次のようなウィンドウが開く。


Autorouterボタンを押すと一瞬で配線が終わる。簡単すぎるためか、アプリのバージョンの違いか、終わった時に結線が表示されていない場合は、ウィンドウ状をクリックすると表示される。なんでかわからないが。

赤い決戦と青い結線で、二つの層が区別されている。論理的に考えると、二つの線が交差するときは、異なった色になっていれば良い。それはすぐに確かめられる。(背景の色が見にくかったので明るく変えている。DisplayメニューでColorを選択すると変更できる)

このFileから、Export Specctra Session File を選んでクリックする。ルールファイルも出力するかとあるが、使うことはないが一応そうしておく。

基盤エディタに戻って、ファイルのインポートから、今出力したSpecctoraファイルをインポートすると次のように画面が更新される。



結線が表示されている。1ちゃんねる回線にしたときに、ネジ穴が消えていたのでそれも加えている。また、回路を少し下に下げてバランスを良くした。

この配線のままでも最終バージョンに進んでいいのだが、プリント基板でよくある、GNDをベタで広く取るということをやった方が、電気的に安定しそうなのでそれをやってみる。

そのためには、ネットワークの出力というのをやらなければならない。ネットワークとは、電気的につながっている結線の集まりである。ver.6から出力の仕方が変わったようだ。回路図エディタのトップメニュのファイルから、エクスポートをクリックしネットリストを選択する。次のダイアログで、ネットリストをエクスポートをクリックし、ファイル名を選択して保存する。

次に回路図エディタに移って、まず、レイヤーをB.Cuに変更する。つまり、基盤の信号レイヤーの裏面をベタ塗りに使うということである。右の編集メニューで塗りつぶしゾーンにマウスポインタを置くとOption-Zと表示される。だから、Option-Zとキーを打つと、ベタ塗りのダイアログが現れる。


レイヤーを裏面にして、ネットワークを選択する。ここでは、繋がっていないコネクタがあるのでおかしくなっているが、通常はもっとわかりやすい。GNDは、ここでは2ピンコネクタの1番ピンである。2ピンコネクタがネットワークリストにないので、Cの中から探さなければならない。ここでは、C10の一方がグラウンドなので、リストの中のC10-Pad1か、C10-Pad2のどちらかである。

このPAD というのは、電気的な接続面というような意味だと思う。つまり、コンデンサには二つの電気的な接続端子がありそれにPAD1とPAD2を割り当てているのである。どちらが対応するかは、ラベルをよく見れば、小さい字で書いてある。初めは、これが見えなかった。


よく見ると、右の端子が2で左の端子が1なのだ。回路を見れば解るように2ピンコネクタの1番ピンにつながっているのは、右側の2であり、だから、GNDに対応したネットワークはC10-Pad2であることがわかった。

注意しなければならないことは、ミスったと思って2回ベタ塗りをやるとベタが二つできて、回路的におかしくなってしまう。下手すると完全なショートとなるので、必ずベタ塗りが一つであることを確かめ、二つあったらどちらかを削除することができるので、そうすることだ。

ダイアログで、ネットワークをそのように指定して、OKをクリックすると、カーソルが現れ、それをクリックしてベタ塗りの領域を指定することになる。基本、基盤が正方形ならば適当に正方形を指定して、後で、四隅のポインタをスライドして基盤の全体を覆うようにすれば良い。そうするとベタ塗りの領域が設定される。

それはまだ単なる網掛けの線の領域となっているが後で、ガーバーファイルを出力するときベタ塗りの領域の再描画をするかを聞かれるので、そこで再描画すると、次のようになる。


感覚的には、ベタのところは緑の濃い色がいいが、色は変えれるので大した問題ではない。

ガーバーファイルの出力は、ウィンドウ上段のプロットアイコンをクリックして行う。これについては、次の記事にしよう。

プリント基板の設計と業者への発注 目次



2022年9月26日月曜日

プリント基板の設計と業者への発注:(2)基盤の編集

 回路図の設計が終わったら、基盤の編集に入る。


上のメニューの右から2番目の緑の基盤の絵が書いてあるアイコンをクリックする。


こんな、基盤の編集画面が現れる。左から2番目のアイコンをクリックすると、以下のような設定画面が開く。

基盤のレイヤーの設定などいろいろある。全部いきなり分かろうとしても無理だ。少しずつ解るしかない。レイヤーは、基盤の層だ。普通の基盤を作成するときに必要なチェックが既に入っているので、それをもとにすれば良い。よく登場するレイヤーは次のようなものだ。

一番大事なのが、F.CuとB.Cuだ。基盤の信号のための二つのそうで、前者が表、後者が裏である。裏には、ベタのGND面を設定したりする。Edge.Cutsは基盤外径で、基盤の大きさを指定するときに使う。チェック欄がないが、必ず必要になるという意味だと思う。

「物理的スタックアップ」は、基盤の層がどうなっているかだが、結局、最後の行の暑さが普通の基盤のように1.6mmになっていることを確認することくらいではないか。

全体として、ほとんどいじらないでいいと思う。

「基盤の更新」のアイコンをクリックし、出てきたウインドウの、基盤を更新ボタンを押すと次のように塊になって現れる。(なお、配線図が正しく描かれていないと、このように現れないことがある。例えば、部品のリファレンスが設定されていないと、結線が描かれず部品だけの塊になっている。その場合は、配線図の編集に戻って、リファレンスを自動で、あるいは手動で打ち直す必要がある)


部品と結線が描かれている。部品は、フットプリントで形状が指定されたものが出ている。従って、抵抗の足やコンデンサーの足、ソケットのピン配置などが指定の大きさになっている。部品が多いと、ここからの作業が面倒になる。つまり、部品一つ一つを、この状態から移動させて、基盤の上に配置しなければならないのである。部品同士が白い線で繋がれているが、これが配線図で指定した結線である。部品をどのようにしても、結線はそれにつれて長くなったり方向を変えたりする。

部品が多いと、部品配置から結線が同一レイヤー上で交差しないようにするのが人力では困難になるので、のちにJAVAで書かれた自動結線ソフトについて触れる。

部品配置を具体的にする前に、基盤の外枠を指定しなければならない。そうしないと、どの範囲にどの方向に部品を配置しなければならないか、見当がつかなくなるからである。

外枠を指定するためには、上のメニューバーの中にあるレイヤーをEdge.Cutsにする。自動的に、右ウインドウのレイヤーの選択がEdge.Cutsになる。逆は逆である。どちらからでも良い。

外枠の設定でも、さらに部品の配置でもグリッドを生かすことはとても大切である。トップメニューの「表示」から「グリッドプロパティ」をクリックすると、グリッドの選択状況が確認できる。

そこにあるように、「オプション」と「1」ボタンを押すと、グリッドが通常の基盤の0.1インチ幅になり、2にすると、その半分になる。必要に応じて切り替えながら配置するのがいいと思う。

外枠の設定に戻ると、レイヤーを選択したのち、右の編集アイコンから「線を描画」を選び、必要な枠を描く。

描き終わったら、右の編集アイコンで、矢印の選択モードに戻しておこう。この外枠の範囲に部品を配置すれば、基盤ができる。外枠の大きさは基盤の大きさになるので、出来上がりをイメージして作成するのがいい。小さすぎると部品がうまく詰め込まれなくなってしまう。大きすぎると無駄ができ、基盤費用が少し高くなる。

また、この段階で基盤のネジ穴を設定しておいた方がいいと思う。というのは、ネジ穴から少し話して部品を配置しなければならないので、後でネジ穴を設定すると、そのために部品を全部移動しなければならなくなる可能性があるからだ。

右の縦列の編集アイコンから、四角と穴が描かれた「フットプリントの追加」アイコンをクリックする。

出てきたウインドウの検索フィールドに mountと打つとネジ穴のフットプリントがいろいろ出てくる。その中のMountinguHole 3.2mm M3を選ぶと、通常の3mmネジ用の穴がセットされる。これは、必要に応じて小さいのやら大きいのやらを選べば良い。

OKボタンを押して、カーソルをボタン位置の上でクリックしセットすればいい。

配線は、部品を一つ一つクリックして移動させることの繰り返しだ。テキストや穴位置などをクリックするとそれだけしか移動しないので、赤い枠をクリックすると全部が選択できる。まとめて領域をクリックするとき、意図していない部品の名前だけを引っ掛けてしまうことがあるので注意が必要である。

一旦、枠外に移動させて、それぞれの位置を定めて配置していくのもいい。

いくつかの部品を移動させてみた例が上である。配線は、引きずったままである。部品をどのように配置するかは、戦略とセンスがものをいう。なるべく配線に無理が出ないような配置にしないと、自動配線をしたときにうまく2層で配線しきれないという事態も生じる。慎重でなければならない。

なお、各部品の配置時に、部品を縦にも横にも回転させることができるので、それも工夫してスペースを利用すると良い。部品上で右クリックすると回転指示のダイアログが表示され、右回転、左回転が設定できる。


プリント基板の設計と業者への発注 目次


プリント基板の設計と業者への発注:(1)回路図の作成

 いざ、ユニバーサル基盤を使って、8チャンネルのPWM信号の直流コンバーターを使ったら、配線がカオスになった。8チャンネル分だから、オペアンプ8個、各オペアンプにセラミックコンデンサーが4個、抵抗が4個で、一枚のユニバーサル基盤に4チャンネル分をつけたが、ハンダ付けが困難を極め、必ずどこかおかしくなっている気がした。

ので、プリント基板を設計して業者に発注することにしたのだ。

そのためには、データを自分で作成しなければならない。設計を依頼するような経済的余裕はない。無料のソフトKiCADを使うことにした。なかなかのソフトだ。以下からダウンロードする。

https://www.kicad.org/download/

最近のバージョンは6だが、ネットで解説していただいているサイトは、それ以前のバージョンである場合が多いので、アイコンの状況が違っている場合がよくあるので、注意する必要がある。

インストールして立ち上げると、いろいろな作業に対応したシステムを選択するウィンドウが現れる。まず、プロジェクトをまず作成する。(以下、作業はMacでやっている)

以下の作業に関して、最も参考にさせていただいたサイトは以下です。

https://www.kicad.xyz

以下を参考にするよりも、最初から上記サイトにアクセスするのが望ましいです。

実際の作業手順としては、

(1)回路図エディタで回路図データの作成

(2)PCBエディタで基盤の編集

(3)業者に提出するためのガーバーファイルの作成

ということになる。それぞれの段階で、気をつけるべき点を忘れないように記録しておく。

(1)回路図データの作成


上の画像は、回路図エディタで今回の8チャンネルPWM用のローパスフィルタの回路図を描いたものだ。基本的に部品を配置して結線する作業だ。部品は、右のオペアンプのような三角マークから選び出して配置する。

大事なのは、部品のシンボルと、その基盤への足跡(フットプリント)の両方を指定しないといけないということだ。シンボルは回路図上に表示される記号のようなもので、電気的な出入りとピン配置が部品と対応していなければならない。もう一つのフットプリントは、基盤状でどのように位置をしめ、どのようにピンが空間的に配置されているかを指定するものだ。シンボルを置いたのちにフットプリントを指定することができる。

シンボルを配置したのちに、右メニューから矢印選択アイコンを選択して、シンブルの上で右クリック、プロパティ画面を開くと次のような画面になる。


このフットプリントのフィールドをクリックして選ぶ。

この画面で、重要なことは、リファレンスが他の部品と重複しないようにすることだ。上のメニューの「シンボルリファレンスの指定記入」とかいうアイコンをクリックすると、自動で割り振ってくれる。たくさんあるときは便利だ。以下ようなウィンドウが開くので、アノーテーションをクリックすれば良い。



抵抗:シンボルはRを選べば良い。

セラミックコンデンサ:シンボルはCを選べば良い。

オペアンプソケット:Conn_02x08_Counter_Clockwiseを選ぶ。2x8ソケットのピン配置で、ピン番号の順番と位置が、オペアンプのそれと一致するものを選んだ。

Resistor_THT:R_Axial_DIN0204_L3.6mm_D1.6mm_P7.62mm_Horizontal。今全体の意味はまだ完全にわかっていない。Resistor_THTは、標準抵抗のカテゴリ。これが部品名となる。その次の記号が、大事なのは、P.7.62mmとHorizontalだ。7.62mmというのは、抵抗を差し込む穴と穴の距離。なぜ、7.62mmなのかというと、ユニバーサル基盤の普通のやつは、穴と穴の距離は、2.54mm、つまり0.1インチだ。これの3個分の距離がそうなるということなのだ。

オペアンプのソケットのフットプリントは、Package_DIP:DIP-8_W7.62mm_Socket を選択している。これには、ソケットがつかないものもあるが、それは直接基盤に部品を実装する場合のものだと思う。その場合、基盤状に、PADと呼ばれるハンダ付けのための金属面が必要になるような感じなので、ソケットがついたものを選んでいる。実際、それはソケットをつけるためのものだから。

回路にアースとかVCCとか、電源系のシンボルを入れることができるが、パワーのラベルを追加しないとエラーになるので注意が必要だ。また、「エレクトリカルルールのチェック」というアイコンをクリックすると、電気的な整合性をチェックしてくれるので、試みる必要がある。

エラーがないと、こんな感じになる。実行しても、何もエラー表示が出てこない。

そんな感じで、回路図データを作成した。次は基盤そのものの設計だ。

プリント基板の設計と業者への発注 目次


2022年9月19日月曜日

WIFIからプロポへ

 新しい二号機の機体は、ほぼアルミパイプで組まれているせいか、 ラズパイのWIFIに繋がりにくい。因果関係はもう一つわからないが、アンテナの中にラズパイがあるようなものなので、そう考えてします。基本、wifiで制御するシステムなので、これは致命的な問題になる。そこで、ラジコンのようにプロポで制御することを目指す。

プロポはOpenTXで組まれたJumper T-Liteというのを持っているので、それとフタバ互換の受信機を組み合わせることにした。受信機は、「Corona 受信機 S.BUS 2.4G S-FHSS フタバ 互換 (R8SF(8CH))」だ。送受信機ともに8チャンネルだ。

この受信機は、プロポの信号によって、直接サーボモータも回すことができる。送信信号の詳細はわからないが、受信信号は、従ってPWM(パルス幅変調)されたものだ。PWMは、パワーを1周期内のパルスの幅によって信号の強度を表現する。この強度をデューティー比という。

今回の目的は、サーボモータを回すのではなく、プロポの操作をフライトコントローラーの制御信号と読み取らなければならないので、なんらかの形でデューティー比をアナログのデータに変換しなければならない。

どうやってそれを実現するかが問題だ。

最初は、安易に、フライトコントローラーで、アナログ信号をPWM信号に変えて、ESC(モータースピードコントローラー)に渡すのが、pca9685というチップなので、これを逆に、出力側にPWM信号を与えて、readさせれば、元に戻るのではないかと考えたが、これは全くダメだった。

次に、矩形波をサンプリングして、mcp3208というおなじみのADコンバーターで読み取り、そこのビットの切り替えタイミングをとらえてデューティー比を計算する方法を考えた。考え方に大きな間違いはなかったが、mcp3208のサンプリング速度が100KHz程度で、これでは、安定した信号を捉えることができない。最低1MHzくらい必要な感じで、一応、それくらいのサンプリングができるADコンバーターを発注したが、いろいろ難しい。

その辺りで、ふとネットを調べていたら、PWM信号をローパスフィルタに通して、デューティー比の信号をアナログ電圧にするという裏技が紹介してあった。

https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/cypress/107577/

これはいいと思った。ただ、私が欲しいのは直流電圧で、RCのローパスフィルタでは、リップルというノイズが大きい。これを小さくするためにはCの容量を大きくしなければならない。しかしそれをやると、Cに電荷が貯まるまでの時間が長くなり、コントローラーの反応に機敏に追随しなくなる。

そこで、次のサイトに書いてある、オペアンプを使ったローパスフィルタを試みた。

https://geek.tacoskingdom.com/blog/88

これでももう一つ満足いく結果を得られなかった。しかし、次のサイトに、複数のオペアンプを通して信号を平滑化する試みが描かれていて、それを試みて、結構満足のいく結果になった。


オペアンプLM358には、同じオペアンプが二つ組み込まれていて、同じ回路を構成し、直列に繋げば、2段のローパスフィルタになる。これをやってみたら、結構いい感じになったのだ。






また、この信号をラズパイに繋いだAD変換LSIのMCP3208を通すと、次のようになった。

これで使える。



920MHz帯無線通信モジュールTY92SS-E2730を使う

 先にも書いたが、ドローン2号機上のコントローラーはラズパイ4で、それとのやりとりをもともとWIFI経由で予定していたが、機体がアルミパイプであるために通信が不安定で使い物にならなかった。そこで、プロポに変えた。プロポの信号取り出しもなんとか安定できるようになったが、そのシステム...